千葉県香取市佐原。
香取神宮へ通じる香取街道沿いと利根川に注がれる小野川沿いに古い街並みが色濃く残り、平成8年に千葉県で唯一の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。
古くから香取神宮の社領として集落が形成されていたが、江戸時代に江戸を洪水から守るために利根川の瀬替えが行われ、江戸への航路が確保されると(内川廻し)、佐原は河港商業都市として繁栄する。
近代に入っても佐原は房総地方の商業の中心として栄え続けるも、戦後に入りモータリゼーションの影響もあって商業的求心力が失われる。
しかし、忠敬橋を中心とする香取街道沿いと小野川沿いの旧市街地は再開発から免れ、重厚な商業建築が多く残っている。
それに混じってレンガ造りの銀行建築や洋風建築などが入り混じり、近代以降も佐原が反映していたことをうかがわせている。
一方で、佐原は50過ぎてから日本各地を廻り初の日本地図を制作した伊能忠敬ゆかりの地でもあり、その旧宅が小野川沿いに残っている。